看護師を目指すシングルマザーにとって、学費や生活費の負担は大きな課題です。しかし、日本には公的な支援制度が充実しており、条件を満たせばさまざまな助成金や奨学金を利用できます。本記事では、シングルマザーが看護学校へ通う際に活用できる金銭的サポートについて詳しく解説します。
看護学校に通うための公的支援制度
① 高等職業訓練促進給付金
- 対象者: 20歳未満の子どもを養育するひとり親で、看護師、保育士、理学療法士、美容師など就業に結びつきやすい資格を取得するための養成機関に通う人。児童扶養手当を受給しているか、同等の所得水準であること。
- 支給額: 月額10万円(住民税課税世帯:月額7万500円)
- 支給期間: 最長3年
- 申請先: 自治体のひとり親支援窓口
② ひとり親家庭自立支援教育訓練給付金
- 対象者: 20歳未満の子どもを養育するひとり親で、就業に役立つ資格を取得するために必要な教育訓練(雇用保険の教育訓練給付対象講座など)を受講した際に、受講費の一部を支援。児童扶養手当を受給しているか、同等の所得水準であること。
- 支給額: どの教育訓練を受講するかによって支給額は異なるが、看護師資格取得なら最大受講費の80%支給される場合も。
- 申請先: 自治体のひとり親支援窓口。制度がない自治体もあるため確認が必要。
③ 日本学生支援機構(JASSO)奨学金
- 対象者:日本国籍を持つ学生。世帯収入が一定基準を下回るなどの基準がある
- 支給額: 月額数万円~十数万円程度
- 受給返済条件:返済が不要な「給付型」と、卒業後に返済が必要な「貸与型(第一種、第二種)」がある。
- 申請先: 各学校の奨学金担当者。JASSOの公式HP
④ 看護師等修学資金貸付制度
・対象者:看護師等を目指す学生に、各自治体や病院施設が独自に実施している支援
- 支給額: 月額2万円~10万円程度(自治体や施設により異なる)
- 返済免除条件: 卒業後、指定された医療機関で一定期間勤務すると返済が不要になる
- 申請先: 各自治体や病院の窓口
生活費を補助する公的支援制度
① 児童扶養手当
- 対象者:所得制限以下のひとり親。他、条件あり。
- 支給額(月額):子ども1人で全額支給の場合、月額45,500円。子どもの人数や所得に応じる。
- 申請先:各自治体
②児童手当
- 対象者:0〜18歳の子どもを養育する家庭。「児童扶養手当」とは別の制度で、両方支給が可能。
- 支給額:3歳未満15,000円(第3子以降は30,000円)3歳以上高校生年代まで10,000円(第3子以降は30,000円)
- 申請先:各自治体
③生活保護
- 対象者:最低限度の生活を保証する制度。収入が最低生活費に満たない、資産がない、親族からの援助が受けられない、働けない、などの条件がある。
- 支給額:居住地や世帯構成、所得によって変動。シングルマザー世帯での平均支給額は約19万円。
- 申請先: 各自治体の福祉課
その他:元夫や親族からの支援
① 養育費
元夫からの養育費も重要な収入源です。養育費を受け取っているのはシングルマザー家庭全体の約3割とされ、養育費を受け取っていないシングルマザーが非常に多いのが事実。
もしあなたが養育費を受け取っていない状況なら、今からでも、たとえ月額1万円でも支払うよう要求を検討しましょう。
もちろん、DVなどが原因で離婚した場合は別ですが、お互いのコミュニケーション不足で疎遠になり、「なんとなく」養育費を受け取らないままでいるのは損でしかありません。これから看護学校に通うなら、たとえ月に数千円だとしても大切な収入です。
未払いの場合の対応: 看護学校に通う予定があることを説明して協力を求める。公正証書を作成して法的拘束力を持たせる。家庭裁判所に養育費請求の申し立てをする。
② 親族からの支援
看護学校と仕事の両立は基本的に不可能です。収入が途絶える学生期間、親や兄弟姉妹からのサポートほど心強いものはありません。もし実家に戻れる状況ならば、看護学校に通う3年間だけでも同居させてもらい生活費を少しでも削減しましょう。
学費についても、公的な助成金だけで足りない場合は親族から借りることも検討してください。奨学金は返済期間や利子があったり、卒業後の進路に制約がある場合も。親族から借りるほうが自由度は高いです。
③保育園の料金軽減
国の幼児教育・保育の無償化により、3歳から5歳までの子どもは保育料が無償です。
さらに住民税非課税世帯の場合は、0〜2歳児の保育料も無償化の対象です。看護学校に通う前年まで一定の収入があり入学時に非課税世帯ではない方も、学生2年目からは非課税世帯となり保育料が無償になります。(住民税は前年の所得に応じて決まります。看護学校に入学後は仕事ができず所得が低くなるため、翌年は非課税世帯に当てはまるため。)
本来、月額数万円かかる保育料が軽減できれば家計の負担も激減します。国の制度をありがたく活用しましょう。
まとめ:支援制度を活用して無理なく看護師を目指そう!
シングルマザーが看護学校に通うのは、学費や生活費の負担が非常に大きいです。せっかく「看護師になりたい」と思っても金銭的なことを考えて「無理」と感じるかもしれません。しかし、公的な支援制度を最大限活用すれば、無理ではありません。実際に私は複数の助成金を利用して看護師になりました。
助成金は、併用して利用できるものや、自治体によって異なるもの、利用の基準が分かりにくかったり、審査が必要なものもあるので、まずは自治体の相談窓口に問い合わせることが必須です。相談員と面談をして、自分の場合どの支援が利用できるのか確認してマネープランを立てましょう。
熱意を持って頑張る人間には、必ず周囲の誰かが手を差し伸べてくれます。
感謝の気持ちを持って支援を受け取り、看護師への道を着実に進んでください!応援しています。